GOOD DESIGN AWARD2024年度受賞
株式会社中央住宅
戸建分譲設計本部 設計一部
プロデューサー:品川典久
ディレクター:野村壮一郎
デザイナー:野村壮一郎、酒井かおり、藤田哲也、青木邦光、大野弘司、浅後潤
コンセプト
東京都東村山市の小学校にほど近い11棟の分譲住宅です。手前+旗竿型の敷地が連続する区画ですが、各棟の敷地の奥側の余白を互いに拠出し合うことで、広場・木立・テラスという3種の「奥庭」を形成しています。
3つの奥庭同士を小径で繋ぎ、街区全体を井戸端と路地を包括するシームレスなシェア空間としました。街を貫く共用部が豊かな住環境形成に寄与し、住まい手が庭や緑と関わりながら車の往来を気にせず憩い、日常のコミュニティが醸成されます。また路地や奥庭の周囲にベンチやハーブ、果樹、植生ブロック等を配し、緑化による環境配慮と景観形成を提案しています。都内の限られた敷地を有効に活用する新しいスタイルの街づくりです。
新しい共有の提案として街区全体を使い3 種の奥庭と路地を設定
特徴
庭や緑と関わりながら車の往来を気にせず街区内を行き来する風景
敷地延長部を抱き合わせてできたオープンスペースを利用した奥庭1「広場」
街区内に内包する森のような緑が景観の中心となる奥庭2「木立」
コモンアクセスによる日常の出会いを醸成する奥庭3「テラス」
かつて路地は人々が触れ合う身近な憩い空間であったが、車道となった現在の道路においてそれを求めることは難しく、閉鎖的な都市空間ではあらゆる交流も減少している。また分譲住宅の開発では事業性を鑑み、棟数をなるべく多く確保するため旗竿型の敷地を用いるケースが多く、住戸同士の接近による住環境の悪化や境界付近の敷地の狭さによる未利用地化の課題もあった。更に当該事業地は都内の一種高度地区に位置し、厳しい北側車線制限により北側の犬走部を大きく確保する必要があり、南北方向の間口の狭い公道側の住戸では上記と同様に敷地内に利用頻度の低い部分が多く発生してしまう懸念があった。そこで事業性を確保しつつ敷地の有効利用を最大化する手法として犬走部を共用路地にすることを考え、更に都市部に残った緑をつなぎ住まい手が憩える場を街区内に創出すべく、新しいスタイルの共有地創出型分譲住地の開発に取り組んだ。
1. 公道側住戸・旗竿型住戸が連続し従来では各戸が分断される区画を共用路地を横断させ全体をシェア空間とした。
2. 建物配置や地役権設定範囲に変化を付け、利用頻度の低い敷地の裏側同士を拠出し合い3カ所の奥庭を構築した。
3. 奥庭を人が集まる「広場」、風景を楽しむ「木立」、玄関を向けた「テラス」の3種に設定し多様な提案とした。
【区画】公道側成型+旗竿型の組み合わせで棟数を確保しつつ、敷地延長部と建物配置を工夫し建物裏側に余白を設け、3種の共有空間「奥庭」を創出。それらを各邸の犬走を利用して創った小径でつなぐことで、敷地境界線で各邸を分断せず街区全体を横断的なシェア空間とした。
【奥庭】敷地延長部を抱き合わせてカースペースの奥を広場状に共有化し4邸の玄関を集めた「広場」、公道側住戸の配置を公道に寄せて裏側スペースを広くし、旗竿型住戸の庭と併せて森空間を街区中心に形成する「木立」、路地を中心に玄関ポーチやテラスを配して住まい手同士の顔合わせを自然に醸成する「テラス」の3種を設計し、共有地への関与レベルを段階的に設定した。
【外構】地役権を設定し共同管理の共有地部分は全て意匠舗装とし権利区分を仕上材で明確化した。また路地や奥庭の周囲にベンチやハーブ、果樹、植生ブロック等を配し、緑化による環境配慮と庭と関わる生活を提案している。
審査員評価
分譲住宅という性格上、全体の区画を効率的に割って活用することはもちろんだが、そうした前提の中で、共用部に強く意識が向けられた丁寧な計画である。「奥庭」と名付けられたそれは、さらに「広場」「木立」「テラス」という3種類の公道からの開かれ方および各住宅との接続の仕方をもっており、相互に通行可能であることによって、一体感とリズム感が高まっている。分譲住宅として一体で供給するからこその美質を備えている。
GOOD DESIGN AWARD
地域連携とインテリアの発信モデル
人と生き物の居場所を創る分譲住宅
GOOD DESIGN AWARD
農を軸とした地域交流型分譲住宅
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GOOD DESIGN AWARD
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敷地内に広場空間を創出
GOOD DESIGN AWARD
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GOOD DESIGN AWARD
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GOOD DESIGN AWARD
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