みなさんは長期優良住宅認定制度をご存知でしょうか。マイホームは人生において最も大きな買い物のひとつ。できるだけ長く快適に暮らせる住まいを手に入れたいですよね。一定の基準を満たした長期優良住宅は、快適な暮らしをかなえるだけでなく、税制優遇や住宅ローン減税特典など、様々なメリットを享受することができます。
長期優良住宅とは、2009(平成21)年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」で定められた基準を満たした住宅のことです。長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅にのみ認定されるもので、主に以下の5つの措置が講じられている住宅を指します。
1.長期に使用するための構造及び設備を有していること
2.居住環境等への配慮を行っていること
3.一定面積以上の住戸面積を有していること
4.維持保全の期間、方法を定めていること
5.自然災害への配慮を行っていること
これらの基準をクリアし長期優良住宅として認められると、補助金や住宅ローンの金利引き下げ、税の特例、地震保険料の割引等を受けられます。
ポラスグループでは、長期優良住宅の普及を推進しています。いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使うという“ストック型社会”を広く国民に提示し、技術の進展に資する事業を公募する「長期優良住宅先導事業」にも採択されています。
長期優良住宅認定制度は新築、増築・改築、分譲マンションなど幅広い住宅に利用可能です。それぞれの住宅に対して異なる認定基準がありますが、今回は、「木造新築一戸建て」に焦点を絞って説明します。
木造新築一戸建てで長期優良住宅の認定を受けるためには、「劣化対策」「耐震性」「維持管理・更新の容易性」「省エネルギー性」「居住環境」「住戸面積」「維持保全計画」の7項目の基準をクリアする必要があります。
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
1.区分された床下空間ごと、小屋裏空間ごとに点検口を設けること。
2.床下空間の有効高さを330mm以上とすること。浴室の床下等が330mm未満となる場合は、当該部分の点検かつ当該部分以外の床下空間の点検に支障をきたさないこと。
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
例)耐震等級(倒壊等防止)が【等級2】。(階数が2以下の木造建築物等で壁量計算による場合は【等級3】)
構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
維持管理対策等級(専用配管)【等級3】
必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
断熱等性能等級【等級5】かつ、一次エネルギー消費量等級【等級6】
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合、これらの内容と調和を図る。※申請先の所管行政庁に確認が必要
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
一戸建ての住宅の場合、75平方メートル以上
※1階の床面積は少なくとも40平方メートル以上 (階段部分を除く)
※所管行政庁が別に定める場合は、その面積要件を満たす必要がある
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、住宅に設ける給水または排水のための設備に関する計画を策定する。
政令で定めるものについて、仕様並びに点検の項目及び時期を設定
では、なぜ「長期優良住宅」が生まれたのでしょうか。木造住宅の法定耐用年数は22年といわれていますが、定期的なメンテナンスを怠らなければ、その何倍もの年月を暮らすことが可能です。
「長期優良住宅」は、「つくっては壊す」というスクラップ&ビルド型の社会から脱却し、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会へ転換することを目的としています。長期に亘って住み続けられる住宅を普及することは、持続可能な社会の実現にも寄与します。
もちろん、人生の多くの時間を過ごす自宅が住み心地の良い場所であれば、多幸感を得られます。ポラスの住宅は高い断熱性能をはじめ、最高等級の耐震性能、痒い所に手が届くきめ細やかな配慮が随所に施されています。
長期優良住宅とは、「住み手がいつまでも暮らしたいと思える住宅」と言い換えても良いかもしれません。
長期優良住宅の認定を受けることで、一般の住宅と比較して税の特例措置が拡充されています。
まず、所得税の住宅ローン控除額が拡大されます。
2024年〜2025年に入居した場合、控除期間が10年〜13年に延長され、住宅借入金等の年末残高の限度額が2,000万円から4,500万円に引き上げられます。
また、登録免許税、不動産取得税、固定資産税も軽減されます。
【登録免許税】
保存登記が0.15%から0.1%、移転登記が0.3%から0.2%へ引き下げ
【不動産取得税】
課税標準からの控除額が1,200万円から1,300万円へ増額
【固定資産税】
減税措置(1 / 2減額)適用期間が3年から5年に延長
長期優良住宅に認定されると、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利優遇を受けることができます。「フラット35」は、金利が一定なだけでなく、質の高い住宅の取得を支援する「フラット35」Sや「フラット35」リノベ、地方公共団体と連携した「フラット35」地域連携型・「フラット35」地方移住支援型など、暮らしに合わせたプランが用意されています。また、保証人、繰上返済手数料が不要であったり、万が一に備え新機構団信や新3大疾病付機構団信といったサポートも充実しているのが特徴です。
「長期優良住宅」の場合、「フラット35」S(金利Aプラン)および維持保全型の金利が、当初の10年間は年0.5%引き下げられます。
減税やローン金利の優遇はもちろんメリットですが、最大の恩恵は住み良い住環境が手に入るということでしょう。多湿な日本における、昔ながらの日本家屋は通気性が良い反面、断熱性が低いのが欠点です。冬になると、ヒートショックなどが原因で心臓、脳、呼吸器系疾患による死者が増加する傾向にあります。
長期優良住宅の基準には「省エネルギー性」があり、断熱等性能等級【等級5】以上と、高い次元での断熱性能が求められています。エアコンなど冷暖房機器の利用率が下がり少ないエネルギーで暮らせるだけでなく、健康面にも好影響があります。
その他にも、長期優良住宅の基準を満たすためには住宅の品質が高い水準である必要があります。地震などの災害に強く、数世代にわたって住み続けられるなど、日々を快適に暮らせるでしょう。
長期優良住宅に認定されているということは、住宅の資産価値も上げることにもつながります。不動産の資産価値は土地の地価や路線価といった立地面と、建物自体のデザインや築年数、管理状態によって決まります。長期優良住宅は劣化対策や耐震性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー性、居住環境などに基準が設けられているので、売却の際に高値がつく可能性があります。
いかがでしたか。大切な家族と長い時間を過ごすマイホーム。人生で幾度とない大きな買い物だからこそ長く快適に過ごせるものにしたいですよね。長期優良住宅はそんな幸せを注ぐ暮らしを叶えてくれる住宅と言えるでしょう。