GOOD DESIGN AWARD2022年度受賞
株式会社中央住宅
戸建分譲設計本部 設計二部
ディレクター:稲垣有以知、鈴木征道、池ノ谷崇行
デザイナー:蕪木孝典、椎名愛子、金森啓介、藤野功、奥村千里、後藤紀子、堀越駿平
6戸の戸建分譲住宅。分譲住宅としては一般的な敷地規模・経済条件の下、住環境の向上と、周辺環境に不足する公共外部空間の補完を行う計画である。
本物件を含めた都心近郊エリアにおいて、敷地面積100㎡の戸建住宅、というロールモデルが定着して久しい。30坪の土地・30坪の上物であれば4人家族で住むに事足りる、という前提で成立していると思われるが、仮に駐車場を確保したら、庭のスペースはほとんどとれず、隣家との距離もギリギリとなり、良好な住環境とはなり得ていないのが現状であろう。
これら条件下での住環境向上のため、戸建分譲街区において多くの確率で発生する、接道要件を満たすため“だけ”に設けられる「路地状敷地」に着目。これらを分譲地の中央に集約する配置計画を実現することで、地役権設定によるひろば的外部空間を創出した。
特徴
入口からみた、ひろば前景
安全なひろば確保が、それぞれの住戸の住環境向上に寄与
レンガ敷土間・干渉緑地・ベンチ等を、住戸に合わせ適宜配置
周辺環境への波及
従来の地役権による多くの敷地共用事例とは異なり、 本計画においては、 全住戸からの平等な敷地拠出にはこだわっていない。 分譲住宅はそもそも区画ごとに敷地条件の違いがあり、その差異を理解した上での購入が、 大前提となっているからである。その結果、路地状敷地という未活用スペースを効率的に集約し、限定的な敷地規模においても、 共用空間の創出が可能となった。
住環境の向上は、以下の3つの段階的スケールに対し、 それぞれの効果を意図している。
①住戸:全戸居間からの庭先空間を確保
②分譲地全体:近隣コミュニティの場を提供
③周辺環境:周辺に不足する公共的外部空間を補完
全てのありきたりな分譲住宅地において、事業性を損なわない、という観点からも取り入れやすい手法であり、 近隣に連鎖的に同様事例が増える事は、 そこまで非現実的ではないなずである。近隣にひろばが増える事で、 ひろば同士の物理的なつながりができるのみならず、ひろばの所有者間の人的ネットワークも同時に構築されることが期待できる。このつながりは、 ストリートを介した様々な交流を生み出し、 自治の大切さを再認識した当事者が育っていくきっかけとなる。 住民が協力してまちづくりの主体となり、 地域をよりよくするための大きなうねりに発展する可能性に、未来を託したい。
審査員評価
ひとつの敷地を複数の敷地に分筆する際、多くのケースでは、接道義務を満たすために路地状の敷地を生み出すことになり、塀に囲まれた活用しにくい場所になってしまうことも少なくない。この提案ではこの未活用スペースのもったいなさに着目し、分譲住宅の住人同士の共有する空間として設計した。また、外構の床を設え、木を植え、各家の掃出窓を隣接するように設け、ベンチも配すことで、より積極的に使える場所となるよう促している。事業性と環境の向上を両立した計画であり、ぜひ多くのプロジェクトでこのアイデアを展開してほしいと期待している。
GOOD DESIGN AWARD
グッドデザイン・ベスト100選出
街並み計画と住民活動で「緑を育む街」
敷地の裏側に路地空間を創出
GOOD DESIGN AWARD
複合型シェアリングコミュニティ
脱炭素循環型コミュニティ普及モデルの構築
GOOD DESIGN AWARD
シェアスケープ~風景を共有する街区~景観共有型分譲住宅
低温乾燥方式による国産杉パネル
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次世代型コミュニティの街づくり
4軒で互いに「土地」を分かち合うシェアコートのある住まい
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IoT住宅による街づくり
地域活性プロジェクト