浦和美園スマートエネルギー特区 つなぐ庭のある街区

GOOD DESIGN AWARD2016年度受賞

土地の分かち合いによる
コモン創出型戸建分譲開発

浦和美園
スマートエネルギー特区
つなぐ庭のある街区

ポイント

『浦和美園E-フォレスト・つなぐ庭の街区』は、さいたま市の地域活性化総合特区「スマートエネルギー特区」事業のサスティナブルな分譲住宅地。「分かち合いと向かい合い」をテーマに、各宅地の一部を拠出し、中心にコモンスペース「つなぐ庭」を創出。 日常の景観形成や安全確保から非常時対応までヒートショック対策を講じた建物とともに住民の健康を支える街づくり。

背景・意義

開発道路のある分譲開発では、自然とコミュニティが醸成されるのに対し、島型の区画割の分譲開発では「向かい合い」の関係が創りにくく、コミュニティや景観の分断につながってしまいます。また道路からの距離を確保するため、建物同士を接近させるケースが多く、敷地内に「建物の裏側の未利用地」ができてしまいます。
そこで戸建分譲住宅の開発者として、地域コミュニティを育む街を広めるため、全邸の敷地を利用しアプローチを介して向かい合う共有地「つなぐ庭」を創り、建物の裏をなくすことで、一般の分譲は未利用地化してしまう空間を共助の場として再構築させました。
歩車分離や採風、延焼抑制、他方向避難等で「健康・安全・共助」を叶え、将来にわたる街のサスティナビリティを目指しました。また地域活性化総合特区の事業であり、つなぐ庭をワークショップの場として設定し、土地の分かち合いが、住民と地域のコミュニティ形成の要となります。

コモン創出型の分譲住宅の実例

『浦和美園E-フォレスト・つなぐ庭の街区』は、さいたま市の地域活性化総合特区「スマートエネルギー特区」事業のサスティナブルな分譲住宅地。21棟の細長い島型の開発地の中心に各宅地の一部を公平に分かち合うことで、フットパス状のコモンスペース「つなぐ庭」を創出し、向かい合いによるコミュニティ醸成と、緑地広域化による景観形成を図りました。歩車分離の通行、建物の隣棟間隔による延焼抑制、災害時の多方向避難等、日常の安全確保から非常時対応まで幅広く街のサスティナビリティに貢献し、高断熱化によるヒートショック対策を講じた建物と共に、さいたま市の公募型プロポーザルコンペにて最優秀企画提案事業に採択されました。

フットパス状のコモンスペース「つなぐ庭」

フットパス状のコモンスペース「つなぐ庭」

街の中心のコミュニティースペース

街の中心のコミュニティースペース

灯かりのいえなみ協定によるライトアップ

灯かりのいえなみ協定によるライトアップ

特長

  • 超高断熱仕様のモデルハウス

    超高断熱仕様のモデルハウス

  • 街づくり


    各宅地の一部を拠出したフットパス状の共有地「つなぐ庭」を創り、建物の「裏側」や宅地内の「未利用地」を解消。隣棟間隔を確保し、街の彩風や延焼抑制、緑地の分散化による広域な緑地に配慮。「つなぐ庭」の地中に電線・通信網を設置し、ローコストの無電柱化を実現。コモンアクセスの玄関設定による歩車分離やコミュニティ醸成、多方向避難路の確保、緊急車両を通行可とする設定、雨水利用タンクや家庭菜園による生活用水・非常時食料の確保等とともに災害に強い街の形成を実施。

  • 景観づくり


    フットパスの地表面を統一された素材の天然石敷とし、ベンチや協定樹木を配置。

  • 家づくり


    全邸Ua値(※)0.46を達成。非暖房時も概ね室温15℃を保つ高断熱設計。

    ※Ua値:外皮平均熱貫流率。 住宅の断熱性能を表し、数値が小さいほど性能が高い。 各部位から逃げる熱損失を合計し、外皮面積で割って求める

  • 地域づくり


    地域と住まい手の協同による街づくり実現のため官民学によるタウンマネジメント協会と連携し、共有地管理や地域情報の提供、ワークショッププログラム等を構築。

審査員評価

従来の宅地開発を刷新する裏庭・裏路地型のコモンスペースを設けた分譲住宅地である。
塀をめぐらし、境界を明示する従来型の宅地開発を超えて、新しいコミュニティを形成する意欲に満ちている。